研究課題 2混み合った細胞環境のマルチスケールモデリング

細胞内の生体高分子の濃度は100〜400mg/mlと考えられており、試験管内の希薄な溶液条件とは大きく異なった環境です。細胞内にあるタンパク質は、非常に混み合った環境(混雑環境)の中で互いを認識し機能しています。しかし、混雑環境での生体分子の構造、動態、機能発現機構を調べるのは実験的にも理論的にも難しく、原子、分子レベルの理解は十分に得られていません。私たちは、全原子レベルのMD計算に加え、Brownian Dynamicsや様々な粗視化モデルを開発しGENESISに実装します。それらを用いて、質の高い細胞質モデルを構築し、In Cell NMRなどの実験グループと連携して、混雑環境が生体分子機能に及ぼす影響を明らかにします。

参考文献

  1. Thermodynamics of Macromolecular Association in Heterogeneous Crowding Environments: Theoretical and Simulation Studies with a Simplified Model. Tadashi Ando, Isseki Yu, Michael Feig and Yuji Sugita. J. Phys. Chem. B (2016) 120:11856-11865.

共同研究者

Michael Feig教授(ミシガン州立大学)