研究課題 3シグナル伝達に関わるタンパク質の機能解明と創薬への応用

細胞は、細胞膜にある受容体を介して外部のシグナルを受け取り、それを細胞質、核内へと伝達し細胞機能を調整しています。シグナル伝達に関わるタンパク質が異常をきたすと、病気を引き起こす原因にもなります。例えば、がんでは異常タンパクにより細胞増殖シグナルの制御が効かなくなっていることが知られています。病気の原因となる異常タンパク質のリガンド結合を阻害する分子標的薬の開発も進んでいます。私たちは、MDシミュレーションによりシグナル伝達に関わるタンパク質のリガンド結合やタンパク質ータンパク質相互作用を原子解像度で明らかにし、シグナル伝達の分子機構を理解し創薬への応用を目指します。大規模シミュレーションを行うだけでなく、構造生物学や分子細胞生物学、一分子計測などと連携し、原子・分子レベルからボトムアップ的に細胞機能の理解を深めます。

参考文献

  1. Encounter complexes and hidden poses of kinase-inhibitor binding on the free-energy landscape. Suyong Re, Hiraku Oshima, Kento Kasahara, Motoshi Kamiya, and Yuji Sugita. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 116, 18404-18409 (2019).
  2. Structural Mechanisms Underlying Activity Changes in an AMPA-type Glutamate Receptor Induced by Substitutions in Its Ligand-Binding Domain, Masayoshi Sakakura, Yumi Ohkubo, Hiraku Oshima, Suyong Re, Masahiro Ito, Yuji Sugita, Hideo Takahashi. Structure (2019) doi:https://doi.org/10.1016/j.str.2019.09.004
  3. Population Shift Mechanism for Partial Agonism of AMPA Receptor, Hiraku Oshima, Suyong Re, Masayoshi Sakakura, Hideo Takahashi, Yuji Sugita. Biophys. J., 116, 57-68 (2019).

共同研究者

高橋栄夫教授、坂倉正義助教(横浜市立大学)